京人形の製作工程は各パーツごとに分業制となっているのが特徴です。分業化されることにより、それぞれが専門職として技法を成熟させ、京人形の品質を高めています。
また、「髪付師」は頭師から預かった「作品」を預かってする仕事です。分業制のなかで連携と信頼の気持ちも大切にしています。
頭師から預かった美しい頭に、よりいっそうの表情を与える髪付師の手わざ。その作業工程もまた各工程に細分化されています。
小刀で髪を植える部分に溝を掘ります。
頭の部分に溝が完成しました。
溝に黒く染めた生糸の髪を植え込みます。
後頭部に和紙を重ねたおすべらかしの型を入れます。
型に糊をつけ左右の髪を後方に引っ張るようにしてはり付けます。
片方ずつ髪を結いあげていきます。
櫛やブラシを使い自然なしなりや流れを出す。
髪結いが完成。
髪飾りや長髢(かもじ)をつけて仕上げます。
髪付師の道具は昔ながらで、往時と変わらない手作業で行われています。櫛やハサミ、コテといった道具を使いこなす作業は、さながら人形の美容師さんを連想させます。
ふっくらとした頭の形に髪をすべらかすための「おすべらかしの型」。木型に和紙の反故を一枚ずつ30枚ほど糊で貼り重ねて作ります。乾いたあと型からはずし、頭の形を切って整え全体を墨で覆ったものを用意します。京人形ならではの、昔ながらでたいへんな手間と時間を要する作業工程です。
女雛の艶やかで自然な流れを表現するため、絹糸にコテをあて自然な流れを作り、和紙を何十枚も重ねて型を作り、髪の毛の一本一本を束ねる丁寧な仕事が求められます。
大垂髪は江戸時代中期から明治時代初期まで用いられた髪型で、比較的新しい髪型です。
前髪を上げ、大きく張り出した両サイドの髪が特徴です。令和の新天皇即位の礼が執り行われた際に、皇后雅子さまがしていらっしゃった美しく雅な髪型です。ひな人形の髪型としても最も馴染み深いものです。
平安時代の貴族の間で流行した日本古来の髪型とされています。
平安時代、長く黒い髪は女性の美と品格を代弁するものとされていました。長い髪をすべて後ろへ流し、わずかに垂らした両頬の毛を切りそろえた髪型です。
源氏物語や平安絵巻などでお馴染みの髪型で、江戸~明治時代のお雛様に用いられた気品のある髪型です。
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